強みを生かす決断とタイミング

2011年6月25日更新


東奥日報6月25日朝刊『あおもり経済散歩道』掲載

●6月に入って、子どもが通う小学校で運動会がありました。被災地には未だ8,000人もの行方不明者がいるというのに、昨年と同じ光景と歓声と笑顔があることに、感謝せずにはいられませんでした。震災の影響は県内でもまだ続きますが、次の春はきっともっと良くなることを信じて、笑顔でいきましょう。

●現状を打破するためには、新しい道を模索することも必要ですが、やみくもに新しいものに手を出しても、もちろんうまくいきません。既に持っている『強み』を把握して大切にした上で、溢れ返る情報の中から『強み』を活かせる情報だけを拾い、合わない情報は捨てる勇気と決断が、新しい道を切り拓く時には必要だ、と前回書きました。

●七戸町で肉牛を9,000頭も飼育している金子ファームでは、昨年夏、七戸十和田駅近くの牧場の真ん中に、ジェラート工房『NAMIKI』をオープンしました。1頭40万円はする肉牛を育てる事業から、1個250円程度のジェラートを小売する事業に参入(しかも店舗を新築して!)するのは、リスクもあると私は当初感じていました。金子社長は「社会貢献のための事業だから」と謙遜されていましたが、結果は、雨の日も冬場も順調にジェラートは売れ、新規雇用も創出して、間もなく開業1年です。

●よく考えてみると、金子ファームの『強み』は【牛を育てるノウハウとスタッフを持っている】ということです。その『強み』を活かして自分達でジャージー牛を育て、ジェラートに適した新鮮なミルクを、毎日自分達で生産できます。もちろんそれだけでなく、七戸町をはじめ多くの支援者と連携したこと、参入タイミングが良かったこと、そしてなにより、しっかりした後継者を育てて新事業を任せたことも、成功の重要な要素になりました。

●企業が持つ最大の財産は『人財』です。後継者を含めた若手人材の育成に関して、県内企業が抱えるハンディキャップと、そこで社長が果たすべき大きな役割について次回は書きます。