『大学生や高校生の就活支援の現場から』

2012年11月14日更新


東奥日報 10月22日版掲載原稿 「あおもり経済散歩道」

●先日、ある大学の進路指導教授との打ち合わせで『やる気のある学生の就活支援プログラムは作れるけど、問題なのは厳しい現実の前で現実逃避しているような、気力の出なくなった学生に対する対応だ。』という話になりました。この『気力欠乏型現実逃避層』の存在は、各学校共通の悩みだと思います。

●日本は高卒や大卒の半分以上が正規雇用されない社会になりました。コンビニやファミレスを便利に使い、中国製品を愛用する「非正規雇用社会」を作ってしまったのですから、若者だけに安定した雇用など望むべくもありません。総じて素直でまじめな今どきの子どもたちは、そんな時代の空気に立ちすくんでいるようです。

●そのためか「就活テクニック」「必勝ノウハウ」の類は世に氾濫しています。採用する立場からすると、若いくせにマニュアル通りの没個性集団には、なかなか魅力や将来性を感じませんが、それでも学生たちはマニュアル通りに就活して落とされ続け、結果現実逃避を始めます。先輩の話を聞いて、現実逃避から就活をスタートしてしまう学生も少なからずいます。

●ハローワークを見ると、実は県内にも求人はあります。学生に対しても求人が全くないわけではありません。でも本人の「選ぶ自由」を親や周囲が過大に尊重することで、社会で勝負するのを安易に先延ばしする学生が増えているように感じます。給料以外の大切な経験を積むことのできる「社会へのフロントエイジ【黄金の10年=20歳代の職業的経験の機会】」を、親や周囲の「甘やかし」が潰してしまっている事例は、とても多いと思います。【黄金の10年】を持たずに30歳代になった人の就職は、今後ますます厳しさを増すのに、です。

●若者が持つ最大の武器は「ある程度の失敗を許してもらえる」ことで、「真剣に失敗する勇気」を若者が失うことはとても悲しいことです。前述の教授も「気力もなく行動もしない学生に対して、一律に『大丈夫だよ、今のままの君で、無理しなくていいよ』という、一見優しげな言葉をかける行為は、ある意味、とても無責任だと思う。」と話されていました。私もそう思います。