『若手人材の定着 3つの壁』

2012年11月14日更新


東奥日報 7月14日版掲載原稿 「あおもり経済未知しるべ」

●宮城県で、中小企業の若手人材確保・定着支援事業を7月から担当することになりました。自社に適した若手人材を採用し、育成して定着させることは、中小企業の競争力維持向上に不可欠です。この支援事業の企画段階で、宮城でも青森でも同じように感じた『若手定着の壁』について書きます。

●1つ目の壁は、若手の心にある『どこかに、もっと自分に合った安定した良い仕事があるはずだ』『自分も転職さえすれば、すぐにもっと良い条件で働ける』『辞めても何とかなる』という根拠のない幻想です。確かに、首都圏などでは転職の成功事例は今でも多くあるでしょう。でも青森では、安易な離職が一層条件の悪い再就職につながる事例の方が多いと現場で感じていますし、そもそも安易な離職だと再就職できないこともザラです。そんなに都合よく「自分に合った良い仕事」が転がっているはずがありません。自分の能力やスキルが他社でも通用するレベルになるまで、最低でも3年以上は「今の仕事に腰を据えて取り組むしかない」と若手に意識改革してもらうことこそ、定着支援の第一歩かもしれません。

●2つめの壁は、中小企業の多くが「人員補充のための即戦力採用」になりがちで、定着ノウハウの蓄積不足が否めないことです。企業内に「定着して活躍している生きたお手本」がいないことは、後に続く若手の定着意識にとって大きなハンディです。

●3つめの壁は、最良のアドバイザーであるはずの保護者が、子供の雇用環境をよく御存じない場合が多いことです。逆説的ですが、これからの日本は転職がさらに一般化し、経験豊かなベテランと若手とが数少ない「良い仕事」を奪い合うことになります。若いというだけで再就職が何とかなるはずがありません。子供の安易な転職願望に対し、時にはブレーキをかけることも必要になります。

●でも、少なくとも一点、青森が宮城より恵まれているのは、就職前の若者と企業とが「顔の見える関係」をつくりやすい、ということです。これは雇用のミスマッチ解消にはとても大事な要素で、その後の人材の定着にも影響します。青森の中小企業の競争力強化のためには、このアドバンテージを活かせる仕掛けづくりが求められていると思います。