その志望でホントにいいの?

2013年6月17日更新


東奥日報コラム「あおもり経済未知しるべ」(第20回)

●4月になり、都会では新入社員と就職活動中の学生が街を行き交っていますが、地方の中小企業にあっては、若手人材の確保と育成・定着が共通の悩みといえます。国が支援事業を予算化していますが、即効性のある特効薬は無いのが現状です。

●学生の中には「安定」とか「条件」以外の確たる志望動機もなく、何となく県外の大企業や公務員を志望し、挫折し、納得できないまま県内の中小企業に就職する人や、望み通り大企業に就職しても、就活で燃え尽きてしまう人も少なからずいるように思います。そもそも働きたい目的があいまいなので、働き続けるモチベーションを持つことが難しいのかもしれません。それでも育成して定着させるとなると、道のりは遠いものがあります。

●人口が急激に減少し、社会構造全体が大きく変容してしまう時代に、そもそも安定なんて存在しないと思うのですが、安定した環境の中で「誰かの力で育ててもらおう」という他者への依存心が、学生にもその親にも、まだまだ根強いと感じます。

●確かに人材育成については、大企業と中小企業で大きな差があるのも事実です。その対策として例えば「就職共通一次」のような、企業横断的な取り組みが、青森の中小企業には求められていると思います。採用段階から中小企業がタバになり、共通の採用試験に合格した学生を採用します。試験は一般的な筆記問題などではなく、グループワーク等のプログラムを使って、より実際に働く環境に近い設定下で学生の適性を見ることを重視します。加えて、入社試験だけでなくその後の「合同入社前研修」「合同入社式」をセットにすることで、新入社員同士の地域内での同期意識を醸成し、年代の近いスタッフが社内にいない県内企業のハンディを克服しやすくします。1社単独での採用や育成が難しいとしても、中小企業がタバになることで、定着に必要な何かが見えてくるのではないでしょうか。

●でも、若者の成長に一番大切なのは「職業人として自立していく覚悟を持つ」つまり「自分の選択や行動の結果に責任を持つ」ことなのは変わりありません。だから、学生諸君、ホントにその志望でいいの?