「10年後を見据えて?」

2013年8月13日更新


東奥日報コラム「あおもり経済未知しるべ」(第23回)

●県内のいくつかの大学で、就職活動に向かう大学3年生に「その企業の10年後を見据えて企業選びを」と話しています。企業研究は志望動機づくりにも、いわゆるミスマッチ解消にも必須だと思います。加えて、終身雇用が崩壊した今では、就職内定で人生のゴールが確約されるわけではないですし、少子高齢化が劇的に進み経営環境が大きく変わるこれからの日本では、企業選びに企業の将来像を加味することがますます重要になってきます。しかし、経営者ですら自社の5年後も見通せないのが現実なのに、大学生が企業や日本の10年後を想定するのは至難の業だと思います。それでも、若い彼らには「企業の10年後を見据えようとする姿勢」と、「たとえ見通しが間違っていても、立ち止まらずにもう一度自分の力で前に進もうとする気持ち」を、いつでも失ってほしくないと思っています。

●高校新卒や大学新卒の半分以上が、正社員になれない時代が来たことは厳しい現実です。私たちはコンビニやファミレスなどで便利な社会を手に入れた代わりに、また価格最重視で外国産品を購入しているのと引き換えに、無意識のうちに正社員が雇用されにくい「非正規雇用社会」を作り出してしまいました。「正社員になれるように頑張ろう」は、すでに現実を無視したアドバイスでしょうし、せっかく就いた正社員の職に対して親が安易に言う「イヤなら辞めて帰っておいで」に至っては悪魔のささやきです。現状を冷静に見たとき、私は「仮に正社員になれないなら、せめて3年、できれば5年我慢できる仕事を選ぼう」と学生に話しています。1年や2年程度の経験は社会的に通用しなくても、5年もの経験なら、きっと次の新しい仕事でも活かせると思うのです。

●実は、ある学生から「具体的にどうすれば10年後の企業の姿を見据えることができますか?」という質問を受けたので、「経済アナリストでも10年後の日本を見通せないのだから、あなた自身が10年後にどんな会社でも通用する自信を持った社会人になっておく方が、ホントは簡単かもね」と答えてしまいました。少しズルかったかもしれません。