シャカイジンへの道-43【人口減少 二つの側面】

5年ごとの国勢調査の速報値が発表されました。日本は史上初めて、継続的な人口減少の局面にあるのですが、青森県は残念ながらそのトップランナーになっています。人口減少は地域存続にとって、とても大きな課題ですが、ひとりひとりが意識しておきたい2つの側面があると思います。

まず、このままでは将来の地域社会の担い手がどんどん少なくなっていく、という点です。

若年層の人口流出に対しては、本県で生まれた子供達が「この地域に生まれてよかった、これからもこの地域で暮らしたい」と思えるように、この地域で暮らす大人が真剣に行動することがとても大切です。

厳しい言い方をすれば、素晴らしい自然も、美味しい食べ物も、温かな人々が暮らす地域も、それだけなら全国各地にあります。本県だけが特別に素晴らしいわけではありません。

逆に、どんなに条件のいい仕事が首都圏にあったとしても、それだけで子供達は自分の人生を決めたりしません。

東京や他の地域と比較して一喜一憂するのではなくこの地域の「自分が生まれた場所という以外の価値」を子供達と共有し、伝え続けていくことは絶対に必要です。でも、ひょっとすると、一番大事なのは「親が毎日楽しそうに働いている姿を見せる」ことなのかもしれません。

もうひとつは、地域社会を支えている産業の担い手が確保できていない現実です。全国的に求人側に厳しい環境が続いているので特効対応策はないのですが、各地には採用方法を工夫したり、募集する人材を見直して幅広い人材を活用している中小企業もあります。

ただ、この問題は、単に各企業や行政の努力にだけ頼っていても解決しません。例えば、いったん県外に出た人が戻ってきたくなる環境づくりが地域社会には求められていますし、「進学校」とされる高校では、子供達が大学や専門学校を卒業した後の、早期離職率を下げるための教育も大切でしょう。

地域経済を支える産業の担い手確保は、人口減少を緩やかにする大きな役割を果たすと思います。

県が主催し、東奥日報社が後援する「人口減少克服トークバトル」が2月22日に青森市で開催されます。唯一の正しい対応策というものは存在しないとしても、小さな取り組みを積み重ねていくことで、地域社会の意識が変化していくきっかけになれば、と期待しています。

(特定非営利活動法人プラットフォームあおもり理事長 米田大吉)