シャカイジンへの道-48【若者が知らないリスク】

新しく社会に出る若者には、社会の厳しさと同時に社会の楽しさも同時に伝えるべきだと、私は考えています。そして、シャカイジンの先輩である私達のもっと大切な役目は、「社会にあるリスクを、若者が社会に出る前に知らせておくこと」だと思います。

4月になると、若者は大きな希望を抱いて社会に出ていきます。この時、多くの若者は自分の抱えるリスクに気が付いていません。このリスクが現実になってしまった時に、結果として彼らの中の一定割合の者が自分の将来に希望を持てなくなったり、誤った選択を重ねてしまったりすることが多い、と私は感じています。

そのリスクの一つ目は「早期離職リスク」です。離職の理由や是非はともかく、早期離職には大きなリスクが伴うことを示すには、彼らが新卒者という特別な立場で就職したという事実を、社会に出る前に理解させることが重要です。入社後に離職してしまうと、新卒時のような「守られた求人による就職環境」はなくなり、多くの経験者と同様のステージで競争を強いられることを、若者だけでなく保護者や周囲も理解する必要があります。

二つ目は「仕事や職場不適応のリスク」です。受入れる企業側の問題と、若者自身の問題とが混在する形で、不適応はあちらこちらで起きています。これに対しては、「相談の重要性」を教えておくべきと考えます。新人である自分の立場からくる遠慮や能力不足だとの思い込み等々、様々な理由によって相談せずに我慢することが、さらによくない結果を招く事例は、とても多いと思います。彼らは相談する方法を知らないか、または相談が億劫なのです。職場に同年代が少ない人間関係や、時間に追われる環境面の変化も考慮し、職場の先輩・上司・保護者、そして出身学校の先生方や行政機関に相談する道があることを、事前に伝えておくべきではないでしょうか。

最後は「お金にまつわるリスク」です。社会に出ると「千円」の経済から「万円」の経済に視点が移ると考えていいと思っています。このリスクについては、例えば不相応な借金が将来を狂わせる可能性があると伝え、一方で、一定の貯蓄や自己への投資により自分の将来価値の創造にもなりうる点も伝えるべきだと思います。

彼らがまだ知らないリスクを整理し、経験者である私達が事前に繰り返し示してあげることが重要なのです。



(特定非営利活動法人プラットフォームあおもりフェロー 髙木茂)